東京高等裁判所 昭和29年(ネ)2577号 判決
次に控訴人は、「被控訴人は本件手形による権利を行使する前に控訴人主張の旧手形を控訴人に返還するか、さもなければ控訴人の面前でこれを破毀する等控訴人に対する二重請求のおそれがないようにしなければ、控訴人に対し本件手形金の請求をすることができない。」旨主張するので判断する。本件手形と控訴人主張の(一)(二)の旧手形とは、前段に引用した原判決の理由中に説明しているとおり一連の関係を有するものであるから、被控訴人としては本件手形による権利を行使するためには、被控訴人が訴外第三信用協同組合から受け戻し現に所持している旧手形につき、控訴人が重ねて請求を受ける危険のない状態に置かれることを必要とするものと解すべきであるが、これがためには必ずしも控訴人主張のように先行的に旧手形を控訴人に返還したり又は控訴人の面前でこれを破毀することを要せず、それぞれ旧手形と引換に本件手形による権利を行使すれば足るものと解するのを相当とする。
(浜田 仁井田 伊藤)